小田茶臼塚古墳

国指定史跡(昭和5494目指定)


本遺跡は、周溝まで含めた全長が63mの小型の前方後円墳(帆立見式)である。築造年代は5世紀後半と推定される。
 墳丘は後円部三段築成,前方部二段築成で、最下段が地山削り出しである。二段,三段築成部に残りのよい葦石があり、三段目平坦部の後円部から前方部にかけて、約50cm間隔で朝顔型・器材型を含む埴輪列がある。前方部と後円部の接するところに、祭祀に係わるものと思われる初期須恵器大壷五個が一列に立てられ、大型器台八個体分が発見されている。
 石室は篇平割石積の竪穴系横口式石室(古い形の横穴式石室)で南西に開口する。石室の壁面には.赤色顔料が塗布されておリ、右側壁の玄武岩質大石一個にだけ多数の幾何学的刻文がある。
 副葬品として、横板鋲留短甲・衡角付冑・鉄矛・鉄刀・鉄鏃・轡・餃具・四環鈴・大型滑石製品・碧玉管玉・ガラス丸玉・ガラス小玉等が記録されている。
 この古墳は、『〈るす塚」つまりキリシタンの墓という伝承残り、神聖視されていた。しかし、昭和3年の道路新設によって墳丘が大幅に削られ、石室が露出して上のような副葬品が出てきたのである。現在、墳頂に神社が祀られる。



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