6、大楠の伝説


大楠の伝説

1.男樟(須賀神社)&女楠(安長寺)

大分県玖珠郡万年山連峰左翼に位置する「切株山」は大楠の切り株の跡といわれ、その超大楠が、切り倒された時に、東の方に倒れて筑後川をせき止めましたが、その後水が引いた土地は、ひいた(日田)と呼ばれ、水に葉が浮いたところが浮羽、鳥の巣が落ちたところが鳥栖、海辺の砂に葉形がたくさんついたところが博多と言われるようになったとか・・・。
 振り散らされた無数の楠の実から育った子孫が、豊前・豊後・筑前・筑後の各地に生存していると言われています。
 隠家の森・太宰府神社の大楠は皆その同胞だと言われています。もちろん安長寺の大楠も例外ではありません。
 この安長寺の大楠は、戦国時代には度度あがる兵火によって、その都度大火傷にあいましたが、幸いにも枯死することなく、一部が甦って更正し、樹脂が伸展して、焼けた幹をまきこんだといわれており、その形跡は、今でも判然と窺うことができます。
 一方祇園社の大楠は兵火の厄こそ免れましたが、虫害を受けて半死半生の目に逢い、何回かの大手術によって樹勢を挽回して今日に至っております。
 この安長寺お大楠と、須賀神社の大楠にまつわる伝説があることです。
 昔から須賀神社の大楠は芽立ちが青芽であるため男樟に見立てられ、これに対して安長寺の大楠は、その芽立が赤芽であることから女楠に見立てられていました。
 この二本の大楠は、互いに仲睦まじく愛し合っていました。でも昼の間は、気恥ずかしいので、知らない振りをしておりますが、夜ともなれば、あたかも梟のような声を立てて、夜もすがら、語り明かすといわれています。
 また、人の寝静まる丑満頃には、梢を手のように伸ばしては、触れ合うようにするとも、言い伝えられています。
 なお、この男楠には白蛇がすんでいると言われ、大楠の精としては、可愛らしい小さいもので、少し青味をもち、目は美しい桃色を呈しているそうです。
 樹の周りを一息で三度回ると白蛇に出逢うことができ、その人に幸運が訪れると伝えられています。


2、【安長寺の大楠】

本堂と大楠  

戦国時代兵火により損傷

県指定天然記念物
昭和32年8月13日指定
  胸高周囲  11.35m  樹  高  31.50m



3.【須賀神社の大楠】

 本殿と大楠 

祇園の大楠

県指定天然記念物
昭和32年8月13日指定
 胸高周囲  13.70m
 樹  高  28.00m



甘木歴史資料館