日田営林署矢部担当区のあゆみ

矢部担当区の沿革

明治二年、藩政時代には御留山や水止山として藩が領有していた山林は、版籍奉還によりすべて官林(国有林)となり、同四年には官林規則が制定されて民部省地理司という役所が官林を主管することとなった。

明治七年には内務省地理院ができてそこに移管され、さらに明治十四年農商務省山林局に所属させ、当地方は福岡山林事務所の管轄に属するようになった。

明治十九年六月には大林区署官制が制定されて福岡大林区署と改称され、黒木派出所を置きその管轄となったが、同二十二年四月、黒木派出所を黒木小林区署と改称した。

明治二十六年四月には黒木小林区署廃止に伴い福島小林区署が新設されて保護区制を布き、保護区を設け区域が定められた。

明治三十六年十二月、福岡大林区署廃止とともに熊本大林区署の管轄となり、ついで福島小林区署が廃止されるに及び、甘木小林区署に併合されて第十三号矢部保護区並びに第十四号御側保護区となった。

大正三年八月、甘木小林区署が廃止され、新設された日田小林区署の管下となり、第十三号矢部保護区及び第十四号御側保護区を併合して第五号矢部保護区として新設された。同七年保護区の一部廃合新設のため第四号矢部保護区と改称され、さらに同十二年一部保護区廃止により第三号矢部保護区となった。

大正十三年、官制改革により小林区署を営林署に、大林区署を営林局に、保護区を担当区と改称されるに及び、矢部担当区と改称され、熊本営林局の管轄下となり日田営林署に属して今日に至っている。

矢部担当区の現況

 矢部担当区の管轄区域は、矢部村と星野村にまたがっている。

その内訳は、   矢部村   正紛国有林 三三四・一五ヘクタール   御側国有林 三六一・四〇ヘクタール 星野村 熊渡山国有林 一五三・六三ヘクタール の三団地から成り、総面積は八四九・一八ヘクタールである。

この三団地のすべてが、標高六百メートル以上の高冷地にあり、すべてが保安林で、そのうち七七三.六六ヘクタールが水源かん養保安林、七五.五二ヘクタールが土砂流出防備保安林、五四.七五ヘクタールが保健保安林(水源かん養保安林と重複)となっている。

人工林、天然林の内訳は、人工林六四六・二三ヘクタールで、全面積の約七六パーセントを占め、天然林は一八四・七八ヘクタール、二四パーセントになっている。

現在矢部担当区は、一名の主任が配属されて担当区の国有林の管理に当たっている。

ちなみに、国有林における森林の保護、保全は、制度的に法律に国有林の内部規定に基づき、その区域などを指定または設定して森林資源や貴重な動植物を保存、保護する仕事と、国有林野事業の実行を通じて森林の保全、整備を図っているものとに分けられる。