修験道と峰入道

生れ岩(愛敬瀬戸)

 鼓の小野谷を登った所にあり豊前境の尾根筋から少し下ったところに高20mばかりの大岩が東西に並んでいる。“生れ岩"という。岩の間は3090cmほどあろうか。新入りの山伏は腰に縄をつけ、このすき間から降ろされたという。
 この行を“生れ直し
"といったので生まれ岩の名が残ったのだろう。近くに山の斜面に突き出た巨大な岩(男岩)がある

生れ岩(女岩)
男 岩

糸ケ峰一(おいつり)・貝釣

 生まれ岩から尾根伝いに北へ一時問、道幅が極端にせまく、左右が急傾斜になった崖に差しかかる。剣の刃の上を渡るような気持ちで、雑木の枝やロープを頼りながら、やっとの思いで20mの剣路を行く。ここが山伏たちに恐れられた糸ケ峰だろうか。
 そこから約50mおきに、険しい岩山をニカ所越える。これが、山伏たちが(おい)と貝とを持っては歩けず、首に吊り下げて通ったという笈釣・貝釣の難所だろう。

(しょういわや)(観音岩)

 笈釣・貝釣より花園の滝の方へ少し下ったところに高さ20mほどの大岩がそびえる。地元の人は観音岩と呼ぶ。その下方にある大きな洞窟が笙の窟である。
 60人は入ると古文書は書いているが、今は天井が崩れ落ちて狭い。ここでも山伏たちの修行は行なわれた。笙(竹の笛)をふき、踊りを舞って楽しんだという。


英彦山修験道「春峰の道」


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深仙宿(行者堂)